第5章 *一番大きな感情編* 完結
気付いたら涙は止まっていて、霞んでいた視界はハッキリとなり
俺の瞳には、母さんに似た幼い少女の姿が映った
【ルナ、行く宛は?】
【無い】
【…なら、我と共にここで組を作らないか?】
【…組? ここで…?】
【この地に組を建てるんだ】
俺の言葉にルナは少し驚いた顔をしたが
【いいだろう】
そう言って、笑った
【ここに組の家が建てられるまでルナは元雇っていた家政婦のおばさんの家に居てくれ】
【分かった。 お前は?】
【…我は今住んでいる者達に話をしてくる…】
【…そうか、ならまた会おう】
【あぁ、これは家政婦のおばさんの家の住所だ。 我の名前を言えば分かってくれる】
【そうか。 …お前の名前は?】
【我の名は、地土だ】
【地土…、待っているぞ】
そう言って俺に背を向けて駆けて行ったルナの後ろ姿を俺は黙って見送った…
\小女との出会いはまだ何もない地だった/ 終