第2章 揺らぐ心
「アンタの名前は?」
「ッ! 誰が"敵"であるお前に名乗るか!!」
「"敵"ですかィ...なら、何で俺の話に"耳を傾けてる"んでィ。"敵"なら構わず"殺せば良い"だろィ」
「ッ!!」
そうだよ......。
何で......
"殺さないんだ"......
"敵"なのに......
何で......。
「俺を"殺せなくなった"のかィ? それとも..."殺したくない"のかィ?」
「ッ...やめて...やめろ...何...言ってるんだよ...さっきから...」
「本当は"イヤ"なんじゃないのかィ? 人を"殺す"のが」
「やめろ!! オレは!! 人を"殺すのが仕事"なんだ!! そのオレが"殺すことを躊躇う"なんて絶対にあるか!!」
そんなことあるはずない......
あたしが仕事である"人を殺す"ことを
躊躇ってるなんて......
オレが"人を殺せなくなった"......?
あたしが"人を殺したくない"......?
そんなはずないだろう......。
そんなことになったら......
オレは、あたしは......
誰からも"必要"とされなくなってしまう......
そんなのイヤだ......。