第5章 "必要"とされない事への恐怖
「ありゃ、俺が"いつもアンタを見てたこと"気付きやせんでした?」
「ッ! どう言う...」
「言葉通りの意味ですぜィ?」
「!!」
"いつも見てた"って
"オレの姿"をか......?
それとも、
"あたしの姿"をなの......?
"どっちの姿"を
"いつも見てたんだ"......?
「"どっちの姿"も知ってやすぜィ」
「!!?」
"どっちの姿も知ってる"ってことは......
"仕事をしてる時のオレの姿"も......
"仕事をしてない時のあたしの姿"も
知ってるって事......?
「だから知ってるんですよ、華菜が"仕事を嫌々してる"ってことをねィ」
「ッ」
オレが"仕事を嫌々してる"だって......?
あたしが"仕事を嫌々してる"......?
そんなことあるはずない......
何で"こんな仕事を嫌々"
しなきゃいけないのよ......?
"何の為に"......?
「アンタは"仕事を嫌々してる"そうだろィ?」
「ふふっ...あははは」
「何が可笑しいんでィ?」
「だってさ、オレが"何の為にそんなこと"をするんだよ?」
「例えばそうですねィ..."仕事を辞める事によって誰からも必要とされなくなるのが怖いから"とかねィ?」
「なっ!?」
何でコイツはずばり当ててしまうんだよ......。
何で貴方はあたしの"思い悩んでること"をずばりと当ててしまうのよ......。
どうしてよ......。