Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第19章 暑苦しい、なんて言わないで
「さーとし♡」
僕の名前を呼び名がら、翔くんが背中から抱きついてくる。
う〜…、ちょっと迷惑かも…
「なに? 重いんだけど…」
こんな子泣き爺みたいなことされちゃったら、絵、描けないんだけどなぁ…
「何か用なの?」
「いや、用はない。ちょっとこうしてみたかっただけ」
はあ?
何を言い出すのかと思ったら…
こうしてみたかっただけ、って…
何なのそれ…
「あのさ、僕今忙しいんだけど…」
「うん、知ってる」
「じゃあどいて?」
「やーだね」
プチッ…
あ、僕の頭の中で、何かが音を立てて切れたみたい。
「あのね、雅紀パパに頼まれてた絵、今週中に仕上げなきゃなんないから、僕今超忙しいの。それにね、この時期は、あんまりベタベタくっつかれるの、ヤなんだけど…」
ただでさえもうしっとり汗ばむ季節なのにさ…
「だから離れて?」
せっかくお風呂に入ってさっぱりしたのに、また汗かいちゃうから…
「暑苦しいんだってぱ…」
あ、ついつい本音が…
「何それ? つい最近まで、こたつ代わりに俺に抱きついてきてたの、誰?」
そ、それは…僕です。
「でもそれはさ、寒かったから…さ…」
だって翔くんの背中、温かいから…
「確かにね? でもさ、俺はいつだって智とこうしてたいんだよ。たから暑苦しい、なんて言うなよ。な?」
翔くん…
もう…、そんなこと言われたら僕…
「分かったよ」
って言うしかなくなっちゃうじゃん…
だって、
「僕も翔くんとずっとこうしてたい」
そうだ…
汗をかいたらまたシャワーでもすればいいし。
今は翔くんの腕の中にいたい。
ちょっと暑苦しいけどね…
「あとで一緒にシャワーしよ?」
「うん」
笑顔で答えた僕の背中は、もうじっとりと汗をかいていた。
おわり♡