Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第14章 Baby's Fragrance
「ただいま」
「おかえり~」
玄関ドアを開けるなり、ボフッと音がする勢いで抱きつかれて、一瞬バランスを崩しそうになる。
「っぶね…」
「ふふ、ビックリした?」
目を丸くする俺を見上げて、智くんが悪戯っぽく笑う。
その髪はビショビショに濡れていて…
よく見るとTシャツを着ただけの足元も濡れている。
「風呂入ってたの?」
首にかかったバスタオルで濡れた髪をガシガシ拭いてやる。
「うん。あのね、エレベーターがね、チンっていって、んで翔君の足音聞こえて、慌てて出てきた」
されるがままになりながら、息継ぐ間もない勢いの智君に、俺はうんうんと頷いて返す。
でも、
「一緒に入りたかった?」
ふふ、と笑ってそう言われた瞬間、俺の制御装置はプスプスと黒煙を吐き出しながら壊れ始める。
「ふふ、苦しいよ…」
気が付けば腕の中に智君をすっぽりと収め、まだ湿った髪に鼻先を埋めていた。
同じシャンプーを使っている筈なのに、智くんの髪から香って来るのは、俺のそれとは全然違っていて…
「赤ちゃんみたい…」
思わず零れた言葉に、智くんが俺の腕の中でクスリと笑う。
「俺、赤ちゃんと違うよ?」
「知ってるよ?」
だって、赤ちゃん相手にこんなドキドキしたりしないしね?
それに赤ちゃんはそんな誘うような目で俺を見たりしないから…