Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第73章 あなたの笑顔が俺のパワーの源
この時期になるといつも感じる。
ピリピリしんな、って…
良くないって分かってる。
でも、ツアーの合間に行われる年末年始の特番の収録に、レギュラー番組の収録だってあるし、毎週月曜日には生放送のニュース番組まで…
忙しさは通常の非じゃない。
加えて今年は大役まで…
嫌でも神経は逆立つし、気付かないうちに蓄積して行疲労に、身体は今にも悲鳴を上げそうになる。
そりゃさ、ピリピリもするよね…
だからかな、普段はことある毎に話しかけて来るメンバーも、あえて俺に近寄ることはないし、なんならグループLINEだって静かなもんだ。
当然、それが俺を思いやっての気遣いだってことは、俺自身痛いほど感じているから、なんとも思わないけど…
たまに…ね…
ふと寂しくなる時があるんだ。
そんな時に、不意に脳裏に浮かぶのは、決まってあの人の顔だ。
それも、ふにゃふにゃで、ちょっと困ったような?
あの人にしか…智くんにしか出来ない笑顔が、浮かんでくる。
そうすると、不思議なんだけど、疲れとか…それこそピリつく神経も、全部嘘みたいに消えるんだ。
魔法でもあんのかな(笑)
「さて…と…」
そろそろ今年最後の大仕事が始まる時間だ。
俺はメンバーとは別に用意された楽屋を出ようと、ドアノブを握った。
その時、鞄の中に仕舞ったスマホが、LINEの着信を知らせた。
スタンバイ時間が迫ってる中、普段なら絶対にしないんだけど、俺はスマホを取り出し確認した。
「えっ…、智くん…?」
見れば、グループとは別に、個別でメッセージが届いていて…
俺はすぐさまLINEを開くと、智くんからのメッセージに目を走らせた。
「翔くん、ちゃんと見てるから頑張ってね♡ もし疲れちゃったら、僕の顔思い出してね♡」
その言葉だけで十分なのに、そこには自撮り…なんだろうね(笑)写真まで添えられていて…
その笑顔に、それまで張り詰めていた緊張が一気に解きほぐされる。
つか、こんな笑顔見せられたら、頑張るっきゃないでしょ(笑)
「無事終わったら、栄養補給させてね♡」
俺は智くんに返信を送り、楽屋を後にした。
やれる…、智くんが見ていてくれるなら、俺はやれる。
俺は智くんの笑顔を胸に、ステージへと向かった。
今年最後のステージへと…
おわり❤