Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第48章 Please,don't…
『違うんだ…。俺も同じこと考えてたから…。智くんと…』
「えっ…?」
今…なんて言ったの?
僕と同じことを翔くんが…?
「嘘…。だって翔くんは…」
僕が泣いたりするから?
だから翔くんは…
だって今だって翔くんの隣には…
『嘘じゃないよ? その証拠に、窓の下、覗いてご覧?』
僕はスマホを耳に宛てたまま、窓辺に駆け寄ると、乱暴にカーテンを捲ってサッシを開けた。
そして身を乗り出すようにしてベランダから下を見下ろすと、見慣れた車の窓から、少しだけ顔を出して手を振る彼の姿がそこにあった。
『急いで降りておいで? じゃないと、時間切れになっちゃうよ?』
「わ、分かった、すぐ行く! すぐ行くから、ちょっとだけ待ってて?」
僕は踵を返すと、ソファーの上に用意してあった鞄を掴むと、バタバタと部屋を出た。
閉め忘れた窓のせいで、カーテンが風に揺れてるのも構わずに…
エレベーターを待つ時間も惜しくて、階段を駆け下りる。
おかげでエントランスに降りた時には、僕のシャツは汗で濡れていて…膝だってケタケタと笑っていた。
それでも僕は愛しい彼の待つ車へと向かって走った。
「お待たせ…!」
「んな走って来なくてもいいのに…。ほら、乗って?」
助手席のドアが開いて、僕は躊躇うことなく車に乗り込んだ。
その瞬間、僕の視界が真っ暗になって…
気付けば、僕の身体は彼の腕に包まれていた。
「会いたかった…」
「僕も…会いたかった…」
僕は翔くんの背中にそっと腕を回した。
今のこの温もりが離れていかないように…
おわり♥