Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第31章 ささのはサラサラ
今日は七夕。
学校から帰ってきた和の手には、和の背丈程もある笹が握られていて…
俺はそれを窓辺に飾った。
笹には、折り紙で作られた“天の川”や“星”“金魚”なんかが飾られていて、そのどれもが黄色一色。
勿論、短冊も黄色だ。
何となく笑えなくもないが、和らしいと言えば和らしく…
俺は何枚か括られた短冊の一枚一枚に目を通して行った。
『みんながずっとなかよしでいられますように』
ああ、翔くんや潤くん、サトくんのことかな?
『ほしいゲームがかってもらえますように』
…ったく、頭の中ゲームばっかなんだから…
『パパがいい子になれますように』
ん? 俺…?(^_^;)
『パパにコビトができますように』
余計なお世話だ(;^_^A
ってか、今はそんな暇ないし(笑)
黄色い短冊には、まだ覚えたての拙い文字で、だけど一生懸命書いた願い事が書いてあって…
俺はそれを読みながら、胸がジンと熱くなるのを感じていた。
「ん? これだけ色が違う?」
黄色一色の中に、一枚だけ違う色の短冊。
それは、白い短冊にクレヨンで五色に塗っただけの物で、俺はそれを手に取ると、微かに見える文字を読んでいった。
『雨が止みますように』
雨…?
ああ、もしかして…
連日テレビなどで報道されている、ある地方に降り続く大雨のニュースのことを言ってるのか?
でもどうしてこれだけ色が…?
「あのね、雨止んだら虹出るでしょ? だからだよ」
なるほどね、そっか…。
二色足りないけど、そうだね…。
「願い事叶うといいな、和?」
「うん。い〜っぱい雨降ったから、きっと大きな虹が出るよ」
そうだな。
大きな虹が出るように、パパもお願いしようかな。
俺は緑の折り紙を取り出すと、そこに小さな願い事を書いて、笹に括った。
どうか祈りが届きますように、と願いながら…
おわり♡