第11章 loved one 秀吉ルート
翌朝
秀吉が目覚めると腕の中に居たはずの飛鳥がいない
(飛鳥…?飛鳥!)
無性に不安になり褥を飛び出すときちんと着替えてお茶を入れている飛鳥の後ろ姿
首筋には昨晩付けた一輪の花が秀吉の物と主張する
着物を羽織りそっと背後から抱きしめる
「あっ、秀吉さん…おはよう」
頬を染めながら呟く飛鳥が無性に可愛らしく愛おしい
『勝手に褥を抜け出すな…心配になる』
いつもの世話焼きとは違い愛おしさを込めて秀吉が呟き耳に息を吹きかける
「んっ…ダメだよ…くすぐったい…」
昨日のそれを思い出し秀吉も顔を赤くする
(まだまだ足らないな…甘やかし尽くしたい…)
『飛鳥…なっ?…もういち…』
向かい合わせる様に身体を向けながら呟くと扉をトントンと叩く音
(くっ…そ…はぁ…誰だよ…)
「あっ!はい」
飛鳥が慌てた声で返事をする
女将の声で失礼致しますと扉が開くとそこには…
着物を着崩した秀吉を見ながら
『やっと纏まったのか?』
と、ニヤっと笑う信長の姿
『おっ…御屋形様!』
ビックリして膝をつく
信長は褥をチラッと見て笑い
『飛鳥…貴様、女の顔をしておるな』
「えっ!そんなっ!」
顔を真っ赤にした飛鳥は下を向く
『まあよい…秀吉』
いまいち状況を飲み込めてない秀吉は信長に頭を下げる
『もう一泊するぞ。これから町に行く用意をして出て参れ』
そう言って部屋を後にした
唖然とする秀吉にそっと近づいて飛鳥が腰を下ろす
「ごめんね?秀吉さん…実は信長様達が来るのは知ってたの…でも秀吉さんには内緒にしろって信長様が…」
申し訳なさそうに飛鳥が言う
(御屋形様…全部謀ってたのか…上手く恋仲になってなければ、自ら何かしようと…)
それは決して飛鳥を奪うのではなく、秀吉と上手くまとめる様に謀ろうとしていてくれていたのだろう
苦笑いをしながら飛鳥を見つめ
『飛鳥、今度から秘密は無しだぞ?次やったら説教だからな』
そう言って抱きしめ口付けを落とした…