第19章 友が為
(やはり…この呪いは、
・・・・・・・
ただの人間には荷が重過ぎる……)
だから銀時も深手を負ってしまって、私だけが生き残ってしまった。
いつもそうだった。だから失った。
慣れ親しんだ集落も、その仲間達も、母も、何もかも……
何かを思い悩む雅に対し、隊士は何と声をかけて良いか分からず呟く。
「雅さん……」
それに、雅の姿がいつもと違うことに気付く。
4月の新年度の始まりにしては暗い格好で、黒い外套に何より……
・・ ・
(赤い、瞳…?)
その姿は、まるで本当の……
スッ
「!」
隊士はその目を向けられてギョッとする。
「……晋助に」
「!」
「……晋助に、後で私の部屋に来るように頼んでくれないか?」
「え…?」
「見て欲しいものがあるんだ。伝えておいてくれ」
雅はそそくさとその場を立ち去ってしまい、隊士はその遠ざかる背中を追いかけることができなかった……
そして現在に至る。
隊士に事の経緯を聞いた高杉と桂は、二手に分かれて、それぞれが辰馬の元へ、そして雅の部屋へ向かった。
もちろん、彼女の部屋へ向かったのは……
バタンッ!
「雅!!」
行き慣れていた彼女の部屋は、相変わらず飾り気もなく殺風景でいた。ただ一点を除いて。
(文…?)
机の真ん中に横長の書き置きがあった。
すぐさま掴み取り、読み上げる。
『拝啓 高杉晋助』
「!」
無我夢中に目を走らせた。
『この手紙を読んでいる頃には、私はもうここにはいないだろう。
松下村塾の時から、ずっと独りで身勝手してきて、すまなかった。
悪いが、今回ばかりは、相手が悪過ぎる。
半年前、山間で鉢合わせした天照院奈落と呼ばれる暗殺部隊。私の故郷を奪った奴らが、今回の件で関与している』
「!!」
高杉は思い出した。いや、忘れるはずがない。