第1章 1章
仕事を終えた陸はすぐさま仲間と別れて最近出来たと言われている小物店に向かった。
明日は俺と天にぃの誕生日!
今日は以前から目をつけていた財布を天にぃの為に買おうと思い収録が終えてから来たと言うわけだ。
陸は鼻歌を歌いながらお目当ての財布を手にした。
「あった♪天にぃ喜んでくれるかな?」
少し不安そうな顔をするが頭の中で天が喜んでいる姿を想像すれば陸はニヤけてしまった。
陸は変な人だと思われて無いか辺りをキョロキョロして誰も居ない事に一安心をした。
陸は直ぐさま財布を購入して帰ろうと店を出た。
「あっ!雨!!」
先程まで晴れていた空が急に曇りだしポツポツと雨が降ってきたのだ。
「ヤバイ!早く帰らないと!!」
陸は少し速歩きで寮に戻ろうと思うが、雨はだんだん酷くなってきて、元々気管支が弱い陸にとって、濡れた身体は冷え切って寒く震えだし速く歩いたせいで息切れをしては、ヒューヒューと喉が鳴っていた。
陸は、このままだと発作が起きると思いヤバイっと思うと余計に気持ちが焦ってしまい咳を必死に我慢するが、1度ゴホッっと出た咳は止まらず、息もだんだんしにくくなり肩で息をしていた。
あ……彼処は…。
陸が目にしたのは、『そば処 山村』と書かれた暖簾だった。
少しだけ休ませてもらおう…。