第7章 長い1日の終わり
〝コンビニ寄って帰るので、家に着いて落ち着いたらまた連絡します〟
結局説明しようと思ったけどコンビニに到着した為冷たい反応をしてしまう。相変わらずこういう所は我ながら可愛げがない。
〝OK、お兄さん楽しみに待ってるから〟
続けて送信される笑顔のうさぎのスタンプ。
そうか、会社の人はスタンプなんて皆使わなかったから、こんな存在があるのをすっかり忘れていた。後輩も遠慮して使わなかったのかどうなのかは定かではない。
スタンプくらい返しておこうかとも思ったが、どうせ後で連絡するんだしテレビ見ながらでもいいか。
今日は時間もあるし明日の朝ごはん用の簡単なおかずでも何か作っておこう。実を言うと料理はそれなりに自信がある。自信はあるのだが、今までは10秒メシ系とかカップ麺とか、他人に栄養とは何たるかを説くに相応しいとは言えない食事しかしてこなかった。知識や技術があったとしても時間がなかったのだ。
必要な栄養素はできるだけ取れるようにサプリメントで補って誤魔化すと言う荒業を使ってでなければ仕事を回せない程、過剰に仕事を押し付けられていた事も改めて思い出す。
あんな会社辞められて本当によかった。
コンビニ寄って少しお菓子を買い、すぐに帰る。
「ただいま」
誰もいないワンルームに虚しくも響く自分の声。
割とボロく老朽化も進んでいる感じが否めないマンションは、とてもひっそりとした住宅街の中にあり、マンションと言っても比較的こじんまりとしている。
特に収集癖があるわけでもない……むしろものを持つ事が面倒ですらある私にとって生活さえ出来ればワンルームでも充分だったのだ。
荷物を置いた私は着替えを済ませ、さっさとシャワーを浴びる。
もう完全に間に合わないことは確定事項なので、やること済ませてからゆっくり見ることにした。
今日1日干していた借りた着替えを明日返す為に綺麗な紙袋に入れ、明日の朝ごはんの準備を済ませてソファーに腰掛ける。
こんなもんか。やる事が無くなった頃には既に22時を回っていた。落ち着いたら連絡するって言ったけど、もう寝ただろうか。
〝起きてますか?〟
秒で既読がつく……早い。
〝待ちくたびれて寝ちゃうとこだったぞ〟
〝すみません、ではおやすみなさい〟
〝冗談だから笑
色々聞かせてよ〟
こうして説明することになった。