第2章 memory悟浄切夢
紅い瞳に映らない…………るいの…………姿…
ーアイツの笑顔の『夢』で…目を覚ましたー
「…………………」
2人で寝ていた筈のシーツには確かにるいの居た“痕”が残っていた……
「ハハ……………俺ッてバカ…?」
ーウソだろ…ー
ーなんでよ…ー
ーどうして…ー
ーー俺のせいだろーー
いくら待っても戻って来ない事なんて分かってたよ…
それは「サヨナラ」なんだろ…?
夢で見ていた“あの笑顔”…薄れてく…記憶…
(あれ…アイツ…どう笑ってたっけ…)
毎日見ていた筈なのに…
ー夢は夢でしかない事を…初めて実感した…ー
るい…?お前は今…どうしてるんだ…
ーー
ーーー
ーーーー
ーーーーー
「悟浄…」
ハッとする紅い瞳に映ったのは…
「眠れませんか?」
「まぁ~ね…」
「月も星も…出ない夜は…こんなにも静かなんですね…」
八戒が悟浄の隣りに立って同じ夜空を見る…
「本当…静かすぎて
「苦い恋でも思い出しますか?」
固まったままの悟浄は肩の力抜いて
「ハハ………」
“かなわねぇな”
と 言うふうに苦笑した。
タバコ1本、火を付けて…
「俺にも、あんのよ~。“そんな思い出”…
あの頃は、まだガキだったからな…………
こんな漆黒の夜の静けさの日には……………
“見えない笑顔”がチラつくのよ…」
「余程、イイ女性だったんでしょうね…」
「そぉ~だな…笑顔の似合う…イイ女だった…」
八戒は微笑んでいた…
“なんだか…話したら気が楽になったカナ~~~!”
「明日は月出ると思う~?」
「星は出るでしょうね…」
今思えば…アレは俺の初恋で…………
たまに思い出す…るいの事…
そして願ってる……
涙じゃない笑顔を…
…くれる男と一緒に
居てくれる事を…………………
END