『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第18章 貴方のことだよ、気づいてしまえ
ユカはすっきりとした晴れやかで
優しい笑みを浮かべていた
あぁ…そうだ。やはり彼女は
ヒロインに相応しい。
明るく前向きで、可愛らしくて
カッコイイ…私の憧れの人
私は彼女のようにはなれないけれど
やっぱり素直に伝えたい
彼に、この想いを…
ーーー…
「朝倉さん、近くまで帰ろうぜ」
「!…うん、いいよ」
心臓が五月蝿い。ドキドキと高鳴る
上手く会話出来ているだろうか
笑えているだろうか
そんな心配ばかりを気にしてしまう
突然立ち止まった黒尾くんは
私を連れて店の中へ
そこには黒猫のグッズが置いてあった
「可愛い…」
「黒猫のキーホルダー買ったの覚えてる?」
「うん、イヤホンジャックとしてスマホのキーホルダーにしてあるよ?」
「へぇ、そっか…朝倉さんってなんでそこまで黒猫が好きなの?」
「えっ…」
なんでとは…それは勿論
貴方と似ているからですよ?
なんてまだ言えないのだ
流石に心の準備が
出来ていないので
もう少々お待ち下さい
「あ、後さ…朝倉さん言ってなかった?」
「えっ?なにを…?」
「目つきの悪い黒猫がいいって…」
「!…良くそこまで覚えてるね」
黒尾くんはニッとした笑みで
私に小さく手に乗るサイズの
ぬいぐるみを見せて来た
黒猫グッズだから
当然黒猫であり
とても目付きの悪い黒猫だった
失礼かも知れないけれど…
黒尾くんにそっくりだなと思えた
じっと黒猫を見ていると唇に
ちゅっと触れるだけの優しく
ぬいぐるみを押し当てられた
「く、黒尾くん…」
そしてそのまま黒尾くんにそっくりな
目付きの悪い黒猫は黒尾くんの唇に
ちゅっと押し当ててニヤリと笑った
「これでも関節キスになるのかな…」
「なっ、なっ、なっ…!?」
「あははっ!朝倉さん顔真っ赤、本当にすげぇ可愛いわぁー…」
「か…からかわないでよっ!」
黒尾くんは目付きの悪い猫を
そのまま会計に持って行き
私に手渡される、やっぱり私は
黒尾くんに弄ばれているのが分かる
日に日にエスカレートしているが
私達…本当に付き合ってないんだよね?
「なぁ…朝倉さんって黒猫以外は好きじゃねぇの?」
「…はい、そうですよ?」
冗談で言っているの?
それとも本気で言っているの?
黒猫は貴方に似ているからというのに
『貴方のことだよ、気づいてしまえ』
