『ハイキュー!!』近くで想う…黒尾鉄朗or夜久衛輔
第8章 打ち明けてしまえばどうなるのだろう
気まずいまま学校へ来る
朝練でまだいない黒尾くんに
ほっ…と安堵のため息をついた
嫌われたかも知れない
でもそれでいいのかも知れない
そうじゃないと前に進めないから…
「四葉、おはよう!」
「ユカ、おはよう…朝から元気だね」
「そうかな?あっ…そうだ、バレー部の朝練見に行かない?」
「朝練…いや、いいよ」
「どうして、面白いよ?ね、行こうよ!」
どうしてだなんて理由は言えない
いかがわしい事はなにもしていない
でも、だけど…今日あった事を言えば
ユカをきっと傷付ける事になるから
明るい笑顔を見せられて
他に断る理由はいくらでもあった
でも今思える事は
貴方に面と向かって謝りたい
ただそれだけだった。
女子バレーを見た事はあった
臨時マネージャーとかで来ていた時とか
でも…男子バレーは見た事がなくて
ただただ圧倒されてしまった。
私よりも身長が高くガタイがいい
男子達が飛んだボールを止めたり
投げて、叩き付けて…また拾って
音駒高校のバレー部は強いと
周りからも言われていたけれど
ここまでだったとは思わなかった
「カッコイイ…」
「見に来て良かったでしょう?」
素直に言えた『カッコイイ』というその言葉。
遠くから見ていた私達を
黒尾くんはいち早く気付いた
そして私から視線を反らす
ほんの些細な表情でも見て取れた
胸が痛い、苦しくて仕方ない。
「朝倉、お前来てたの?」
「!…夜久くん」
明らかにその表情は、なんで今いるの?
見たいな強ばらせている視線を感じる
ユカに視線を向けて、夜久くんは言った
「コイツ、一旦借りていい?」
「えっ、あの…」
「良いから来い、朝練今終わったから…」
そう言われても、と思いながら
私は肩を組まされて人気のない所へ
足を進めた。
「お前が来る所じゃないの分かってるよな…」
「ご、ごめんなさい…」
「吹っ切れたなら俺もとやかく言わないけど、辛くなるの自分だって事は理解出来る?」
「……断り切れなくて」
「お前さ。本当にお人好し過ぎるし…なんか見ていて凄い腹立つ」
ごもっともで…
私もこんな自分が大嫌い
でもそう簡単に変えられない
いや、変えたいと思う努力を
していない。文句は言えない
「もう偽るの止めたら?俺は素の朝倉の方が案外嫌いじゃないよ…」
「夜久くん…」
「良し、そろそろ行くか」
