第78章 所有印
「……俺は、しないし、する気もない。」
どうして!と、身を乗り出す燭台切の旦那を片手で制して続ける。
「それをしたら、が‥主が主では無くなると思ってるからな。出来るなら俺だけを見ていて欲しい。が、彼女は本丸の主だ。そんな事出来ないし他の者も望まないだろ?…刀の頃、傍に居られなかった辛さを知っているし、大切にしてもらって嬉しかった気持ちも知っている。」
だからこそ、主の為にも今の穏やかな本丸の為にも使う気は無い。そう言って、目を伏せる。
「だから君は優し過ぎるって言ったんだ。」
そんなの一人辛いだけじゃないか。溜め息をついて燭台切の旦那がそう呟く。