第76章 情慾
離したくない。
折れてしまいそうな細い腰を抱いて、胸に頬を擦り寄せる。
「一期、子供みたいね‥」
子供でも良い。一時でも私の物にした証が欲しくて、胸の外側に口を付け、気付かれない様にそっと印を残した。
胸へのキスの意味は、所有と独占欲。
さん、貴女は私の物にはならない近いけど遠い存在だ。出来るのであればその手でまた私を求めて欲しい。
…でも、そうもいかないでしょうな。
この程度、ただの蚊に刺され位ですし、効果は無いでしょう。ですが、私の小さな悪足掻き、どうかお許し下さい‥
胸から顔を上げ、髪を撫でてからもう一度唇に軽くキスをする。
「‥さん、愛していますよ。」