第74章 君がため
目を覚ますと、主が俺の手を握って眠っていた。
‥朝か、主はあれから魘される事もなくゆっくり寝られたんだな。
「良かった…」
赤くなった目元を指の腹で撫でると擽ったそうに目を擦る。
ふ、相変わらず可愛らしい‥
そう思っていると、主の後ろから伸びてきた腕に抱き抱えられて主が目を覚ます。
「ふぁ‥あれ?長谷部おはよぉ。………ん?じゃあ後ろに居るの誰?」
「ちゃん‥僕にはおはようしてくれないの?」
主を後ろから抱き締めた燭台切が、主の首筋に顔を埋めながら呟く。
「ゃ‥光忠?擽ったいってば!ぇ、ちょ、どこ触って…」
「燭台切、俺の目の前で良い度胸だなぁ?」
俺の手を握っていた主の手を引っ張って燭台切から離す。