第71章 草双紙
本棚の陰で、そっと項に口付けて、耳に囁いた。
「さん、私は貴女が思う以上にさんを想っています。」
「い、一期君っ!?」
図書館では静かに、と書いてありますよ?と、さんの口を手で覆う。
「…さん、貴女が好きです。貴女の笑顔が好きなんです。だからどうか笑っていて下さい‥」
お願いです、と、口から手を離してもう一度後ろからきつく抱き締める。
「ありがとう、一期…」
抱き締めた手に添えられたこの手が、離れて行かない事を強く強く願った。
「さんが笑って下さるなら、何でも出来る気がしますよ。」