第5章 シュレディンガーの猫
スッと立ち上がれば、支えを無くしたあいつが後ろで可笑しな叫び声を上げて転がる。
「びっくりした!もぉ、急に退かないでよね!?」
「あんたの背凭れになった覚えは無いからな。」
寝転がったまま俺を見上げて、けちーっ!と言いながら唇を尖らせ拗ねたような顔をすると、両手を伸ばしてばたばたと振る。
「起こして!伽羅ちゃん、抱っこ!」
「ふっ…調子に乗り過ぎだ。」
差し出した手に喜んで掴まったこいつは、次はどんな気持ちを俺に教えるつもりなんだろうか…
楽しみ、だな。
シュレディンガーの猫。終