第34章 幻の向こう
「大将っ!しっかりしてくれ!気持ちは解る、だが長谷部の旦那は次元の狭間なんだぞ!?…‥何処に居るかなんて‥無事かも定かじゃないんだ…」
「い、いるよ!きっと大丈夫だよ!はやく、はやくさがさないと泣いちゃうから!はせべが‥はせべが…」
涙が止まらないよ、上手く呼吸も出来ない。震える私の手を包帯で巻かれたみっちゃんの手が包む。
「主ちゃん……」
検非違使の出現条件に満たない場所での遭遇、異常な強さ、転送装置の不具合‥政府に連絡して、それで何とか長谷部を…
それで、それで‥
…それで?
私はどうしたらいいの‥
「お願い‥長谷部、を、たすけてください…」