第94章 今を生きる
「ボク達は可愛いって思ってたけど、薬研は最初からあるじさんの事、綺麗だって言うよね。なんでなの?」
「ははっ、それ向こうに行った時長谷部達にも言われたぜ。」
胡座の上で手袋を直しながら、何で解んねぇのかね?と呟く。
「大将は綺麗だ。確かに可愛いとこもあるが、どうしたってそれは変わらない。あの黒髪を耳に掛けた時や着物の襟を直す時とか綺麗だろ?…それに泣いた後、凄く綺麗に笑うんだぜ。俺が修行から帰った時、大泣きしながら抱き締めてくれた。立派になって帰って来てくれて嬉しいってさ。あの時の大将を見てたら、胸がかぁっと熱くなったんだ。」
修行かぁ、この本丸には極の修行に行った奴が何人もいるけど、もし俺が修行へ行ったら、俺にも主は同じように泣いてくれるのかな?