第93章 白妙
「……満足した?」
「いえ、まだ足りません。」
「私、お花見しに来たんだけどなぁ、長谷部の胸と顔しか見えない…」
「嬉しいでしょう?」
「…………ばか。」
すっかり温かくなったの手を握り髪を撫でる。ふわりと舞っていた花弁が頭の天辺で止まった。
「そういえば、主は燭台切と何を話されたんですか?あいつから桜の種類を聞かれたんですよ。」
「ん?うん。この白い桜、本丸のとは違うねって話してたんだ。」
種類、わかるの?と聞かれ、燭台切の時と同じ様に答える。
「そっか、君は白妙君って言うんだね。…あ、そうそうそれからね、みっちゃん短歌詠んでたよ。」
「短歌ですか?」
あいつと同じ反応だったのに少しムッとしたが、今は然したる事ではない。上を見上げたが、俺の頭に付いていたらしい花弁を取って、ふっと吹く。