第93章 白妙
「あ、あるじ…あのっ‥」
「長谷部、今のは…」
顔から火が出そうだ、くそっ博多のせいで色々考えていた事まで喋った気がするがもう遅い、どうする俺?
「あのですね、主?」
「ごほんっ!お取り込み中申し訳ないのですが、宜しいですかな?花見の準備は出来ています、早くしないと歌仙殿が何と言うか解りませんよ?」
一期一振が俺の膝で転がっていた博多を引き起こす。悪戯っぽく笑って舌を出した博多の額を指で突いて、俺も立ち上がった。
「長谷部君、ドンマイ!」
「‥大丈夫だ、きっとあいつは何を言ったか良く解っていないだろうからな。」
俺の肩を叩いた燭台切と山姥切が、主を一瞥してから頷く。乱の結われた髪を撫でながら、花見の話をしている主はさして気にする様子も無い。