第92章 夜桜
「……た、ただいまぁ?」
久し振りに開いた本丸への扉を通り、まだ炬燵が置いたままの主の部屋を抜け居間へ向かう。
庭の方からは手合わせをしている竹刀のぶつかる音がする。向こうで遊んでるのは短刀君達かな?久し振りの本丸は、前と違って少し賑やかになっていた。僕達が居ない一月で何人も増えたんだ、当たり前だよね。
「あー!!主ぃ!?何で?今日帰る何て言ってなかったよね!嬉しいよー俺ずっと待ってたんだよ!!」
「本当だ!!主さん、お帰りなさい!」
嬉しそうに飛び付いた加州君と大和守君に押され、傍に居た蜻蛉切さんの腕にすぽっと収まった主ちゃんは、とても良い笑顔だ。
「主、大丈夫ですか?‥主が本陣へと帰還なされた!皆の者、集合せよ!」
蜻蛉切さんの一声に、廊下を走って来る音がいくつも聞こえる。