第92章 夜桜
転送ゲート修復完了の知らせが来たのが昨晩の事だった。
これでいつでも帰れるね!と嬉しそうに笑った主ちゃんが、帰る前にひとつだけしたい事がある、と相談してきたのが今朝だ。
「夜桜をね、見たいの。」
「夜桜かい?」
「うん、ここの側に夜桜で有名な場所があるの。だからね、帰る前に、そこへ皆で行きたいなって。」
良いね、夜桜は僕も見た事がないし、是非行ってみたいけど…
「伽羅ちゃんと一期さん、早く帰りたいみたいだよね。」
「うん、だから相談したんだ。」
伽羅ちゃんは本心ではないんだろうけど、もう帰るって言って猫部屋に籠ってるし、一期さんは自分の居ないうちに新しく来た粟田口の子達も居るし、一月も弟君達に会えてなかったんだ、当然だよね。