第89章 夢路
頭が真っ白だ。
身体に力が入らない。頭の中がぐるぐる回ってぼーっとして、温かくてふわふわして…
あぁ、の甘い香りと体温が落ち着くな‥もう目が開けられない。このまま居たらこいつは怒るだろうか?でも、もう‥
「…………寝る。」
「‥っ!!?」
を抱き締めて、覆い被さったまま、意識が何処かへ飛んでいく。
「え、ま、待って!!」
慌てた様な声がして、胸を叩かれて、ぐいぐいと押し返された様な気がしたが、もうそこから先は解らない。
頼れなんて言ったって、こんなんじゃ俺はあんたの薬にはなれそうにないな…
ただ、願わくば、またあんたと同じ夢路を辿りたい、そう思った。