第87章 国宝指定記念日
「なぁ‥大倶利伽羅の旦那、何だあれ。」
「………目を合わせるな、精神をやられるぞ。」
まぁ、確かにな。
脚の自由に動く寝袋から顔だけ出した状態の鶴丸の旦那からは、面白いを通り越して得体の知れない恐怖さえ感じる。
「真顔は無いだろ、旦那…‥いや、そうじゃなくてな!俺達は何をするんだ?考えておくって言ってたろ?」
「勿論考えてあるぞ?あっと驚く贈り物をな!」
身体を横向きにして、こちらを向いたまま相変わらずの真顔で脚を開いたり閉じたりして見せる。
「……止めろ国永、猫が怯える。」
「あぁ、すまんすまん。」
身体を起こして胡座をかいた鶴丸の旦那が、寝袋から腕を出す。
「光坊は今作ってるあれと夕飯だろ?一期は今頃長谷部本人に選ばせてるだろうし、こっちは時間になったら俺が勝手に始めるから気にするな。なっ?」
握った右手の親指を立てると、いつもの調子で、驚きの結果をきみにもたらそう!と、にいっと笑った。