第87章 国宝指定記念日
三月三十一日、朝。
数日前に鶴丸の旦那から説明された通り、今日は大将に落ち着きが無い。
「どうせ主は前日まで徹夜だ。当日は落ち着きないだろうから、取り敢えず大人しくしていた方が良いだろうさ。」
あの言葉通りの大将が目の前に居る。
「大将、少しは落ち着いたらどうだ?長谷部は今一兄と買い出しで居ないだろ。」
「解ってるけどさ!日数足りなかったし寝不足だし、自信無いんだよぉ…」
まぁた、そんな事か。あの長谷部が大将から何かを貰って喜ばなかった事なんて無かったろ?
下手したら、へのへのもへじとか、適当な落書きだって喜ぶんじゃないか?
「はぁ、安心しろ!有り得ない。それより燭台切の旦那の手伝いは良いのか?」
大将に、顎で厨の方を見る様に促す。俺もそれと同時に振り返ると、冷蔵庫から牛乳を取り出した燭台切の旦那と目が合った。