第1章 カラクリ少女
江戸の街で暮らす発明家の父と優しい母と10歳の元気な娘の3人の家族が居た。
その3人は決して裕福ではなかったけれど、幸せに暮らしていた。
しかし、あるとき母は貧しい生活に耐えられなくなってしまい、お金持ちの男と浮気をし、そのまま父とは離婚…。
娘は幼いながらも、母の代わりにと父の発明を手伝い、お金を稼いでいた。
その数年後、雪が降るなか、娘は突然「出掛けてくるね!」と言って帰って来ないまま、行方不明となった。
自分を支えてくれた娘も居なくなり、そのタイミングで父は病気にかかってしまった。
父の余命はあと5年だという…。
寂しさに明け暮れた父は、娘によく似たカラクリを造った。
そのカラクリも自分と同じように5年経ったら動かなくなってしまうという期限付きにした。
カラクリを1人残していくのが嫌だったからだ。
けれど、その思いは届かず父の病気は悪化し、2年後に他界…。
娘によく似たカラクリは生活するお金に困り、江戸の街をさまよったのだった。