第1章 EPISODE0 *ここから始まる
────その帰り
一応心配だということでマネージャーが車で送ってくれた
貴「はぁ…」
私は深いため息をついた
マネ「どうしたの?」
マネージャーが心配そうに尋ねてきた
貴「梶さん、絶対あれお世辞でしたよね…」
私はまたため息をついた
マネ「本当だと思うよ?」
貴「え?」
私は何を根拠にそんなことを思ったのか分からなかった
マネ「だってさっきの話したあと彼の顔、赤くなってたから…あれ多分お世辞じゃなくて本音だと思う」
え、それがホントならめっちゃ嬉しいんですけど。
貴「そ、そうなんですか」
マネ「不安ならあの時本人に聞けばよかったじゃない」
貴「でもできそうな雰囲気じゃなかったじゃないですか!」
────数時間前in医務室
私は真っ赤になった顔を見られないように下を向いたまま
貴「そ、そうなんですね」
と言うのが精一杯だった
そして梶さんはふとスマホの画面を見た
梶「あ、俺次の仕事あるからそろそろ行かないと。お大事にね」
貴「は、はい。ありがとうごさいます」
私は顔の熱が治まってきたので顔を上げた
梶「じゃあまた明日ね」
そう言って笑顔を見せると椅子から腰を浮かせ、そのまま部屋を出ていってしまった
────というわけで私は梶さんに聞けないまま現在に至る
マネ「まぁそうなんだけどね^^;
じゃあ明日聞けば?」
貴「いやまずお世辞かどうかなんて聞いて例えお世辞だったとしてもお世辞でしたなんて梶さんが言うわけないじゃないですか」
マネージャーは、はははと笑い、ほら着いたよ、と言いながら私の家のマンションの前に車を止めた