第10章 <番外編SS*秋> もしも魔女でも【大将優】
「優さん。トリック オア トリート!」
そう言いながら、リビングに入ってきた紗菜ちゃん。
ああ、ハロウィンね。…と思いつつ振り返ると、そこには何とも際どい格好をした紗菜ちゃんが立っていた。
魔女に扮したトンガリ帽に、星の形をしたステッキ。そして、黒いウルトラミニのワンピース。
普通のワンピースなら何も問題はない。
問題なのは、肌が露出されていること!
胸元も、太ももも…。
「どう?似合う?魔女!」
紗菜ちゃんはキラキラした瞳で俺を見上げてくる。
そりゃあ、似合うよ…。
魔女っ子紗菜ちゃん、すっごい可愛い。
でもそんな格好して…、まさか…、まさか…!
「似合うけど。どこ行く気?」
「え?」
「ハロウィンパーティー?もしかして男もいたりするの?」
「え?待っ…」
「いけません!そんな肌出して!魔女なら他の格好もあるだろ!?ハリー・○ッターとか、魔女の○急便とか!」
ただでさえ紗菜ちゃんはエロい体してんだから!
危機感が足りないんじゃねーの!?
変な男の餌食になったらどうするつもりだよ!?
「パーティーなんて行かないよ?」
「……へ?」
「優さんのためだけに買ったの。こういうの、好きじゃなかった?」
「……好き、デス」
「でしょ?優さんの好み、もうわかってるもん」
紗菜ちゃんは得意気に上目使いして、ギュッと俺に抱きついてくる。
相変わらず柔らかくて、すべすべムチムチしてて…
意図せず湧き上がってくるヨコシマな感情。
そんなことを知ってか知らずか、このエロ魔女はとどめを刺す。
「今日の晩ごはん、ハンバーグにしてくれなきゃイタズラしちゃうぞ?」
…クッソ!!
かっ……わいい…っ!!
「はい!ハンバーグ作らせていただきます!
でもベッドで紗菜ちゃんにイタズラもされたいですっ!!」
「うん、そのつもり♡」
あー…ヤバイな、この手玉に取られてる感。
年上の威厳ってもんがどんどんなくなってる気がする。
紗菜ちゃんて、本当に魔女だったりして…。
まあ、それでもいいや。
惚れた弱味ってヤツ。
君が魔女でも、悪の帝王でも、閻魔大王でも。
俺の気持ちは、ずっと変わらないからね。
【 end 】