第5章 glass heart【赤葦京治】
ツッキーに促され、肩を抱かれたままアパートの階段を昇る。
手前から二つ目のドア。
その中へ入り後ろ手で鍵が閉められたところで、はぁっ…と小さくため息が聞こえた。
ちょっと…近いよ…!
不覚にも心臓がバクバクとうるさい。
ツッキー細身だけど、こうしてるとやっぱり男の人だ。
手も大きいし、腕もゴツゴツしてて…。
「ツッキー…」
「ああ、ごめん…」
私の声で肩から手を離し、ツッキーは靴を脱ぐ。
「悪いけど、少しの間ここにいてくれる?」
「え?」
「大家さん、いつもこの時間敷地内の掃除してるんだ。誤魔化した意味なくなるからさ」
「いいけど…。お見合いさせられそうになったの?」
「うん。お節介好きみたいで。前下の階の男の人にも声かけてた」
「へぇ…本当にそういう人いるんだね…」
私もスニーカーを脱いで、家の中にお邪魔する。
1Kだけど、部屋は結構広い。
綺麗に片付いてて、インテリアはいたってシンプルなモノトーン。
ツッキーの部屋って感じ。
「苺、ありがと」
「ううん。少しで悪いけど」
苺を洗うツッキーに返事をしつつサイドボードに目をやると、写真を見つけた。
黒いユニフォームを着た、バレーの選手たち。
「これ、高校生の時の?」
「え?ああ、うん…」
「ツッキーやっぱこの時から美少年だねぇ!」
「チョット…あんま見ないで…」
「え?飾ってあったら見るじゃん」
「いいよ見なくて。苺でも食べてなよ」
「私家で食べたからいらないよ?」
何枚か飾られてる写真立て。
その中に、見慣れた顔を見つける。
「わ、テツさんだ!光太郎さんも!」
「ああ、それ合同合宿の時の」
「あはは!変わってないねぇ!…あ、」
赤葦さんだ…。
うわぁ…!何かあどけない感じ!
今よりちょっと髪短い!おにぎり持ってる!可愛い!!
「赤葦さん見てんの?」
ふいに投げられたツッキーの声でグッと言葉に詰まる。
まだ私が赤葦さんのこと好きだって、バレてるのかな…?