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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



その日は、夕方の便で北海道へ発つことになっていた。
今回の出張は三泊四日。
同行するのは、プライベートでも付き合いのある先輩。
成瀬の時とは違い、この人との出張は色んな意味で気兼ねが要らなくて助かる。

通常業務をこなしながら出張の手筈を整えていると、いい加減空腹で集中力が切れてきた。

腕時計を確認する。
普段昼食を摂る時間より、だいぶ時間が経過している。


「なあ、黒尾。外食いに行かね?スロットで稼いだから、俺奢るし!」

「マジっすか?じゃあ、浅井さんの行きたい店で」

「んー、黒尾の彼女の店は?」

「もしかして、気遣ってくれてます?」

「そんなんじゃねぇよ。あそこの飯、ウマかったし」

浅井さんには公私ともに良くしてもらっていて、南さんの店にも一度顔を出したことがある。
梨央のことも紹介して、「あれがセーラー服着せた彼女か!」なんてからかわれた。
今ならランチタイムの混雑はピークを越えてるだろうし、それほど待たずに昼飯にありつけるはずだ。

二人でオフィスを出てエレベーターを待っている途中、ふと後ろから声を掛けられた。

「お疲れ様です」

「よお、お疲れさん。成瀬も今から飯?」

「はい」

にこやかに浅井さんと言葉を交わすのは、俺の苦手な同僚。
相変わらず、今日も清楚系完全武装に余念がない。

つーか、この流れ…嫌な予感しかしねぇ…。

「俺ら外に出るんだけど、成瀬も行く?」

「いいんですか?ぜひ!」

……だよな。そりゃ、こうなるわな…。

「黒尾の彼女が働いてるカフェが、近くにあるんだよ。飯ウマいからそこ行くつもりなんだけど」

「……黒尾くんの、彼女…?」

「ああ。綺麗な子だよ。なぁ、黒尾」

「そっすね」

「うわ、ノロケやがって!」

成瀬と二人で行った軽井沢。
あの時改めて告白されて、退っ引きならない事情から一晩一緒に過ごす結果になってしまった。
あれから何度か飲みに誘われたけど、当然ながら断った。

大体、こいつが彼女持ちにいつまでも執着するとは思えねぇし。
もうとっくに、新しい彼氏がいるのかもしれない。


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