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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第10章 スイートセンチメンタル …3月14日


さらりと頬をなでた、季節外れの暖かで穏やかな春風


眠い……



鼻腔を数多の花々の香りがすり抜け、

小さく呻いて億劫に瞳を開けた。




「うぅ」


ここの楽園を照らす偽物の太陽が眩しくて、くらんだ私は目を閉じた。



「大丈夫かい?」


淡くとろけるようなテノールが耳に入り、私はそっちを振り向いた。

首を曲げる前に、彼が回り込んで日光を遮ってくれた。

や、やっぱりさりげなく優しいというか、なんというか。




「三島幹部〜……?」

「そうだとも」


甘やかに微笑んだ彼が私に手を差し出し、それを受け取って立ち上がる。


「お茶を淹れたよ。
あと、君の持ってきてくれた差し入れのケーキも用意した。」



要点だけを伝えた三島幹部の手が離れてゆく。

暖かな春の陽気に脳は絶賛休業中だ……



「上橋?」

「あっ、はい!」



先をゆくその背を追いかけた。

ふわふわとミルクティー色の髪が揺れている。


さ、触りたい……って! 私!
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