第3章 こたつに渉
『冬といえばこたつに蜜柑ですね!』
そう言って渉がどこに隠し持っていたのか蜜柑を沢山取り出した。
「…いつも思うけど、身体のどこにそんなに物を隠しているんだい?」
『おやぁ?手品(マジック)は種がわからないから面白いんですよ?』
渉はどこか誇らしげに悪戯な笑みを浮かべてみせる。英智は、そんな渉の表情がとても好きだった。
「いつか必ず暴いてみせるからね」
『いつか、なんて言わないで今暴いてくれてもいいんですよ?』
挑発的な渉の眼差し。この表情も英智の大好物だ。
「ふふふ、蜜柑より甘いものを隠してそうだね?」
英智が期待に満ちた眼差しを投げかければ、もう止める事は出来ない。
『こたつには渉だね』
と、英智はこっそり呟いた。