第26章 父さん
──・・・だが、なにも不安じゃないといったら嘘になるな。
少し・・・不安だ。
今まで、ずっと『いちばん』というものにこだわってきていた父さんに、反論することはなかったからな
小さい頃は、いちばんが普通だと思っていた。
不自由はないし、むしろ得なことはたくさんある。
だが、それだけじゃなかった。
父さんのいっていることは確かに大切だが、人生を生きていくためにはそれだけでは生きていけない。
そう思う。
優しさと、好奇心。
それも大切だということを学んだ。
常にいちばんだから、という理由でなにかを丸めたくない。
俺は、俺のレールを走っていきたい。
その先に、みんなが───はちがいてくれたら。
・・・こんなに嬉しいことはないだろう
『・・・眉間にシワよってるよ?』
クスクス笑いが聞こえてくる。
我に返り横を向くと、リラックスした状態のはちがいた。
その姿を見て、俺も安心してくる。
ちなみに虹村さんはご妹弟の関係で帰られた。
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「────ついたぞ」
何気ない帰り道だったはずなのに、ガレージに父さんの車があるのを見て心拍数が一気に上がった。
緊張、しているんだな・・・
────ギュッ
と、手にかかる体温。
温かい。
はちの手。
だが、指先は冷たかった。
はちも緊張しているんだな
ここは、根性を見せなければ後悔する場面。
自分の口から言わないと意味がない。