第26章 〜26〜
「じゃ、俺はそろそろ行くね」
「あ……うん……」
「また時間見つけてちょくちょく会いに来るから」
家康はそう言いながら優鞠の頭を撫でた。
「……わかった……」
「ふふ、じゃあね」
家康はすっと立ち上がり、の部屋を後にした。
(自分で自分を悩ませてただけだったな……さっさと好きだって伝えればよかったんだ……)
部屋を尋ねる前とは随分違う気分で歩き出した。
(それにしても秀吉さんかぁ……。面倒見良いし、強いのも確かだし、家臣からの信頼もあつい。そりゃ女に人気かもしれないけど……優鞠だけは絶対渡せない。)
まだ優鞠との関係は自分が望むものとは違うけれど、絶対優鞠を手に入れる。
そう決意を固め、家康は御殿へと戻っていった。