【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第7章 Cherish➤Precious
新しい服を身に着けマルコ隊長と船に戻った際には、兄のみならずおねーさんたちからも質問攻めにされた。
たまたま出会い、たまたま買ってもらい、たまたま用事が終わっていたので一緒に帰ってきただけなのだといくら説明しても終わらない。
段々投げやりになってきたところで一日のつかれをどっと感じた。
そう言えばほぼ半日能力使いっぱなしだったっけ。
自覚すればするほど眠気が襲ってきて体が前後に揺れる。
「…もう、しょうがない妹ね。これじゃ憎めないじゃない」
「ていうか一番憎みたいのは俺なんだけど」
「捨てられてやんのーハルタの奴」
「エースお前ちょっと表出ろや」
「んじゃ俺は部屋に送ってくるわ」
「サッチ隊長お願いね。襲っちゃ駄目ですよ」
曖昧に笑った彼が私を抱き上げ歩き始めたので、おんぶがいいという意味を込めて足をばたつかせた。
たが恐らくわかっていながら変えようとしない。
この関係にも、変化が訪れようとしているのだろうか。
「まだ"可愛い"妹でいたいなぁ」
「そりゃ鬼畜ってやつだろうよなまえさん」
「嫌だなぁ…」
「何が?」
「ぜーんぶ」
部屋に到着し扉を開けようとした手を引っ込め更に歩く。
なんとなくわかってしまって思いとどまるよう暴れるも気にしてないかのように止まらない。
降りようにもしっかり抱きしめられていて、サッチの部屋に着いてしまった。
ソファの上に座らされ、隣に腰掛ける。
その間に生まれた微妙な距離。
「何か飲むか?」
「強いの」
「えー酔って忘れましたなんて無しだぞ?」
「えー残念」
小さく笑いあってグラスを鳴らす。
会話のない、沈黙じゃない静寂に心地よさを感じ目を閉じた。
「なまえ」
「ん?」
「好きだよ」
「うん」
「うんってなに」
「うんはうんだよ」
「ばーか、返事は?」
視線を感じて隣を向くと顎に手を添えられ顔が近づく。
まるで幸せの言葉以外受け付けないような雰囲気に酔いそうになるも、サッチは寸前で止めた。
「…早く言えよ」
「言ったじゃん」
「はぁー」
おもむろに溜息をつき離れようとした彼の服をつかみ引き寄せる。
「好きだよ、サッチ」
触れた唇が熱い。