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Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》

第18章  "好き"の行方は知らぬまま、





一方その頃、先程の余韻に浸る孤爪である。


「やわかったな……」


つつ、と指先で自身の唇をなぞる。そこにはまだ、星菜の温もりが残っている気がした。それにしても、だ。すごい大胆なことしなかったかな、おれ。支えてあげたとこまではいい、そこまでは。


ただその先―――抱きしめたら、もう離したくないと思ってしまった。止めなくちゃ、と分かっていたのに自制が効かなくて、挙句に項を(ほんのちょーっとだけ)舐めた。同じ人の肌なのに、甘い気がした。


「おー、いたいた、研磨めっけ」


と、呑気に階段を登ってきた黒尾。バレやしないかとドキドキしながら、孤爪は平成を装った。


「あぁ、クロ。リエーフは?」


「星菜に言われる前に歯磨きだとよ。それよか研磨、星菜となんかあったか?」


「…なんで?」


一拍返事が遅れたのは、やっぱり少しだけ動揺したから。だが黒尾はそれに気付かないのか、不思議そうな顔で訊ねた。


「なんか、階段からドタバタ聞こえてよ。あと星菜の悲鳴?っつーの?まぁ大体予想つくけど」


「たぶんその通りだよ。星菜が落ちかけたから、おれが助けた。それでじゃない?」


「うわ、当たった。てかこの年ンなって階段から落ちるとか、星菜傑作かよ」


ぶひゃひゃ、と変わった笑い声を上げる黒尾に、孤爪は胸を撫で下ろした。「お前も歯ァ磨いてこい、布団敷き手伝ってくるから」と言い、去り際に黒尾は孤爪の頭を一撫でした。


「クロ、ごめんね………」


これが、最後の足掻きだから。もう、諦めるから。星菜がおれを、恋愛対象に見てないなんてとっくに知ってた。だって、ずっとそうじゃん。おれといると星菜は"お姉さん"とか"先輩"の顔をする。でもクロといる時は"女のコ"の顔してるって、クロは知らないでしょ?おれには分かるんだよ、だって。


だって、おれたちは幼馴染みだからね。


「クロ、がんばれ………」


黒尾の消えた部屋を見詰め、孤爪は呟く。階段を下るその背中は、どこか寂しそうだった。




 
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