第36章 不思議な感情移入
みわ
「今日ね、夕食を作ろうかなって台所に行ったらね……いたの。」
(あれ?
なんかいつもと違う甘ったるいしゃべり方になってる!!
か、か、可愛い!!!)
もはや
ゴキブリの話なんてどうでも良い。
みわ
「だから私…き、気持ち悪いから…ベシッて….……」
山崎
「潰したの?」
みわ
「出来なかったの…だってそうでしょ?その潰そうとしたゴキブリにだって家族がいるかも…かもじゃないよね?だってここに?ここにこのゴキブリが存在するって言う事はつまりお母さんは居るって事でしょ?って言う事はつまり私が潰してしまったら悲しむゴキブリが居るって事でしょ?こんな私がこのゴキブリを潰す権利なんてない…このゴキブリの将来を無くしてしまう事なんて出来ないでしょう?私は母親で子供の大切さを知っているの。無くしてしまったら辛くて辛くて苦しむに決まってる、そのゴキブリのお母さんはきっと私を恨むに違いないの…それでもわたしは潰すべきだったのかなぁ…」