第9章 餡
屯所に着くとまだ詰所で仕事をしていた土方さんに
山崎さんの様子を伝えた。
土方
「そうか…ご苦労だった佐藤。」
ふと時計を見ると22時
土方さんの他にも何人かの隊士さんが書き物をしている。
(…ここにいる全員命を張って江戸を守ってるんだよね……
いつ山崎さんみたいになるか分からないのに…,
みんな家族とか恋人とか居るんだよね。。
どんな気持ちで…この人達の帰りを待ってるんだろう……)
胸が苦しくなって立ち尽くす
土方
「どうした?疲れたか?
……おい佐藤。夕飯食ったか?
食ってないなら土方スペシャルでもご馳走してやろうか?」
隊士
「え”…」
その部屋に居た隊士達が、
土方スペシャルに反応する。
土方
「なんだ??お前らも食うか?」
隊士
「いや、俺はまだ仕事が……」
隊士
「こんな時間にそんなもん食ったら悪夢見そうだぜ。」
隊士
「↑ほんとそれな。」
隊士
「佐藤さんもやめときな〜」
土方
「おい!今、そんなもんって言ったの誰だ!オィ!名乗れ!俺が解釈してやる!オラ!お前か!!」
関係ない隊士さんの胸ぐらを掴んで怒鳴っている土方さん
みわ
「…今日は疲れたので…またこんど機会があれば土方スペシャル奢ってください。
おやすみなさい…お先に失礼します…」
土方
「おぉ…」
私は女中の寝所に向かいながら
堪えていたものが頬を伝う。
なんだか、
真選組を生きる隊士さん達を待つ家族…恋人達の辛い気持ちが分かったような気がして…
廊下から見える夜空は、
そんな私の気持ちとは正反対にとても澄んでいて綺麗だった。