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華の剣士 王宮篇

第5章 長の議の間で


ハヨンが合格し、家へと戻っているとき、城内ではちょつとした騒ぎとなっていた。


「どういうことだ!ヘウォン殿!」

青筋を立てて起こっている初老の男は朱雀の隊長ソ・チェソンだ。


「落ち着いてくださいよチェソン殿。私はなにもおかしなことはしていないでしょう?」


ヘウォンは落ち着いたようすで座っている。


この場にいる面々は、それぞれの隊の長や副隊長であり、彼らは話し合うことがある場合この長の議の間(おさのぎのま)を使っている。


ここは王族でさえ許可なしには足を踏み入れることのできない場所である。


なぜ今彼らが集まっているのかというと、白虎の合格者の中に女人がいると聞きつけ、ヘウォンに真偽を確かめるためだ。


「おかしなこと?今まで女の兵士がいたという記録が一切ないにも関わらず、一人で合格と判断したことのどこがおかしくないと言い切れる。」


「チェソン殿もどこがおかしいと言い切れるのです?」


「ええい、人の言葉で遊ぶな!」


拳を卓にぶつけるチェソンは短気なようで、ヘウォンの挑発に毎度突っかかって行く。


「ちょ、ヘウォンさん。チェソン様をからかうのやめてくださいよ。こっちまでとばっちり食らうの嫌ですからね。」


チェソンと火花を散らしているヘウォンに、ハイルはささやく。


「大丈夫だ、お前に迷惑はかけん」


返事をするヘウォンが人の悪い笑みを浮かべているのを見て、これは頼りにならない、とハイルはこっそりため息をつく。


「わしの何がおかしいと言うのだ!地位が同じとは言え、わしに無礼な口をきくな。」


やれやれ、これだから頭の固いじいさんは。とヘウォンが小さな声で呟くので、ハイルは誰かに聞かれてはいないかと肝を冷やす。


「はっきり言って差し上げましょう。その考えはもはや古いものです。」


(ああ…。ヘウォンさんは何がしたいんだ…!)


次々と非礼を重ねる上司にハイルは泣きたくなったのだった。






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