第8章 忍び寄る恐怖と出会い
ミカの手が真横のスッと伸び、ステラさんの方に行くことを防がれる。
「ミカ、なにやられてんの?弱くなったんじゃない?」
「お姉ちゃんまで僕を怒らすの?」
口では強がっているが、状況的にミカは圧倒的不利だ。
先ほど持っていった銃は見事に粉砕されているし、怪我もしてる。
一方でステラさんは銃も剣も持っている。
「スペルタールが情けないね?」
「お姫様は黙って後ろで観戦しててよ」
なんて言ってる合間もミカは攻撃を受け続けている。
「私がただのか弱いお姫様じゃないのはミカが1番知ってるでしょ?」
そう言いながら私はミカに銃を投げた。
「なっ、アオメッ!お前、まさかっ⁉︎」
ステラさんが驚きの声をあげるなか、私ももう1つの銃を構える。
「ミカ、庇うのはこれが最後だから」
「やっぱりお姉ちゃん、最高かも」
2人で顔を見合わせて微笑むと、1つの標的に向かって飛びかかる。
久しぶりのミカとのチーム戦、心は踊るけどなんとかセーブしなきゃ。
これ以上ないほど、頭で計算しつつ行動する。
1番いいタイミングを探さないと………
今だっ!!
ステラさんの体勢が崩れ、ミカが引き金を引こうとした瞬間____。
ガンッッ
ミカの頭めがけて、銃をぶん投げるとそれは鈍い音を立てた。
意識が朦朧としたミカにすかさず近づき、先ほどと同じく気絶させる。
残ったのは荒い息が2つ。
「ステラさん、大丈夫ですか?」
私が近くに寄ると、その場でゴロンと寝転がった。
「なんだよ、演技かよっ!どっちか分からないわっ!」
「敵を騙すには味方からって言うじゃないですか。しかも、ステラさん無傷に見えて結構折れてますよね?
ミカにはバレてなくても、私にはバレてますよ」
うっかりステラさんが撃たれないように、私が銃口を向ける位置を計算して彼の逃げ道を誘導しておいた。
「で、お前がこんな面倒くさいことをした理由は?」
「ミカのこと、ルータスに入れてくれませんか?悪い子じゃないんですよ、強いですし。
ということを話したかったのですが、こうする前に言っても脅されてるなんていう憶測もつくでしょう?」
私はそう言いながらステラさんを起こして、簡易な治療をする。