第2章 過去
「ちょっと桜じっとしてなさい」
朝から一ノ瀬家では桜の母の声が響く。
「えーだって退屈なんだもん。桜もお兄様みたいに剣道やりたい‼︎」
「わがまま言わないの。桜は華道と茶道習ってるでしょ。」
当時7歳だった私はお兄様が竹刀を振っている姿がとてもカッコよくて、自分もやりたいとお母様にただをこねて困らせたり
執事と家中で鬼ごっこやかくれんぼして走り回ったり
一通り礼儀や作法は習ってたけど自分が社長令嬢で周りよりは裕福な家庭で育ってるなんて全然知らないでいた。
毎日学校で勉強して友達と遊んで、習い事は毎日あったけど何も考えずに楽しく暮らしてた。
中等部に上がってもこの環境は続くんだって思ってたのに。