第15章 One Step
【翔side】
翌朝。
半分だけ開けたカーテンの隙間から洩れた日差しが、俺の頬に届く。
重い目蓋を押し上げると、綺麗な背中がゆっくりと上下している。
その肩にそっと唇をつけた。
.....まだ、目覚めない。
俺はちょっとした悪戯のつもりで、綺麗な背中に舌を這わせ、肩甲骨の上辺りを強く吸った。
...痕を残すつもりで..
...俺のものだって、印をつけるため..
なのに、
「..痛って///」
慌てて振り返った智くんの肘が...
智くんの肘が...
「あ―――っ///翔くん、鼻血が!」
智くんのエルボーをまともに鼻にくらい、俺は血飛沫を上げて倒れた。
...まあ、それは大袈裟だけど。
幸か不幸か?
怪我の功名と言うべきか?
俺は愛しい智くんの膝枕で寝かされている...
全裸の智くんの...
直ぐにでも、下から見上げる、花びらみたいな唇を、引き寄せて奪いたいところだけど...
鼻には、智くんが詰めてくれたでっかいティッシュが。
「ごめんね~翔くん...痛かった~?」
眉毛を下げて、困った顔をした智くん。
「いや...俺がいけないんだし...」
俺はにっこり笑って目を閉じた。
「しばらくこうしてても、いい?」
「いいけど...」
首に智くんの体温が伝わって、じんわり温っかい...
多分さ。
端から見ると間抜けな格好してる。
ふたりとも素っ裸で、ベッドの上で膝枕...
これじゃあ、夕べの甘い余韻も吹っ飛ぶ...
「智くん..抱っこして❤」
「え~?..こ、こう...?」
そのままの体制で、上からそっと俺の頭を抱えてくれた智くん...なんて幸せなんだろう。
んで。
俺は思わず、目の前にある、誘うように膨らんだ可愛い乳首に吸い付いて音を立てて吸った。
「あん..やだっ///」
慌てて離れるその胸には、
夕べつけた赤い痕が...
...な~んだ、ちゃんと着けてたんだっけ♪
俺の印❤
「も、もっと...」
赤い顔して強請る君の腕を引いて組み敷いた。
「智くん、愛してる..ずっと一緒にいようね..」
「翔くん...いてね..ず~っと❤」
これからも、当たり前の毎日、君と歩いてく。
僕らのメロディー、奏でながら。
朝の陽ざしが、優しく俺たちを包んでいた。
【END】