第15章 One Step
【和也side】
松潤が、少しだけ...ほんの少しだけ、
悲しそうな顔した。
それはほんの一瞬で、また直ぐにキラキラの笑顔に戻ったけど...
俺たち3人は、共に戦を戦った、謂わば『戦友』のようだ。
精一杯やった。
ありとあらゆる戦略で戦った。
こんなに自分を曝け出して、素の二宮和也で勝負した。
そして、見事に玉砕した。
それほどに、二人の絆は強かったってことだ。
勝負に負けたとはいえ、今の二人を見ていると清々しささえ感じる。
まあ、多少はね?
いい年して全くよくやるよ...と感じないわけでもないけど...
でも、仲良くしててもらわないと困る。
だってさ、こんな完璧な俺たち3人が全身全霊を掛けて挑んでも、崩すことができなかった壁なんだから。
「智くん、クリームついてるって...」
「どこ?どこ?」
「全く~...ほら、ここに...」
チョコレートケーキを食べてる大野さんの世話を、翔ちゃんが焼いている。
その姿は、もう長年連れ添った夫婦...
いや、母親と残念な息子??
...まあ、そんなのどっちでもいい...
そんな二人のイチャイチャを、
相葉さんが目を細めて見てる。
そんな相葉さんを見てる俺の視線に気づいた彼は、俺を見て少し笑った。
きっと同じ気持ちなんだろう...
思えば。
相葉さんをけしかけて、翔ちゃんに近づかせた。
申し訳なかったかな?
結果、傷ついて泣くことになったんだから...
だけど、俺と...おそらくきっと松潤も同じで、秘めていた思いをぶちまけて戦ったからこそ、
100%出し切って挑んだからこそ、今がある...
ずっと抱えていた気持ちに、決着をつけることができた。だからこそ、前に進めるんだ。
「あ、そうそう♪明日さ、みんなのうちにパイナップルが届くから、受け取っといてよ!」
「そう、めっちゃ旨いやつだから...」
「1箱4個入りだったかな~?」
「4個~?そんなに食べきれないよ~...」
「完熟だから、直ぐ食べてね~」
「「「え~///まじかよ~?」」」
悪戯を仕掛けた子どもみたいな顔で翔ちゃんが笑った。
その横で、翔ちゃんを見て笑うあなた...
そんな二人を、穏やかに優しい気持ちで見ていられる自分がいることに、正直驚いている...
そして、何だか、
俺も成長できたのかな...
と思う。