第15章 One Step
【和也side】
一週開いて、久々の収録だった。
「おはよございま〜す」
楽屋に入ると、松潤が来ていた。
「おはよう、ニノ...」
雑誌を捲っていた彼は、俺を見てにっこりした。
相変わらず、キラキラしてんなぁ...
「...帰って来たのかな〜..?」
一人言のように呟く彼。
「何が?」
「いや、分かんないならいいや...」
また雑誌に視線を戻すから、
「大野さんと翔ちゃん?」
そう聞くと、
「分かってんなら聞くなよ...」
と少しだけ口を尖らせた。
そして俺たちは、お互いに自分のことを始めた。
「おっはよぉ〜♪」
そこに今日も賑やかに相葉さんが登場した。
「ねえねえ、俺の家の角のセブン、いつの間にかファミマになってたんだよね〜ビックリするでしょ!」
....知らんわ!
「へぇ、そう...」
優しい松潤が応えてやる。
そして、また楽屋はちょっと静になった。
「ふたり、来るかなぁ...」ぼそりと言う相葉さんに、松潤が、
「誰が?」と聞いた。
「やっぱ、いいや...」
相葉さんはそう言うと、スマホを出した。
「上のふたりのこと?」
さらりと言う松潤に、
「分かってんじゃ〜ん///」と彼もまた膨れた。
その後は、3人とも無言で、それぞれにしていたけど、
「それにしてもさ、遅くね?」
俺の言葉に、ふたりとも部屋の時計を見上げた。
集合の時間を、15分、過ぎていた。
....どうしたのかなぁ...?
何かあったのか〜?
それでも少し心配になった頃、
「「おはよ〜///」」
噂のふたりがほぼ同時に飛び込んできた。
ニット帽を目深に被った翔ちゃんと、
あり得ない寝癖をつけたまんまの大野さん。
ほんの少し前まで寝てたことがバレバレの。
しかも、
ふたりからはおんなじボディーソープの香り...
「工事で車が渋滞しちゃって」
と言い訳する翔ちゃんに、眠そうな大野さん。
...前にもこんなことあったなぁ...
と、思い返してみる。
あの時は、ふたりの関係が分からなかったから、もう猜疑心の塊でしかなかった俺も、
今となっては苦笑いで彼の髪に触れる。
「おじさん、どう寝たらこんな頭になれるのよ...」
「そんな凄い〜?」
髪を弄りながら翔ちゃんを見る顔は、何とも甘えた目をしてて。
全くさ..見てらんないよ、ホント。