第7章 maboroshi
【和也side】
翔ちゃんのことは心配だったけど、
命に関わることではないと言うし、
早く元気になって、と祈るしかなかった。
それでも、相葉くんに様子を聞こうかと携帯を持ったら、そこに大野さんからのLINEが。
『会いたい』と....
きっとあの人も傷付いてるはずだ。
3人の間にあったことは、分からないけど、俺が、彼のことを救ってやりたい。
翔ちゃんを、失った悲しみの縁にいる彼のこと、助けられるのは、きっと俺しかいない....
まだ心は翔ちゃんにあってもいい....
それでも、きっといつか。
心も全部、俺にくれる...そうでしょ?
今まで、翔ちゃんとの間がどんなだったか、何で、翔ちゃんと身体の関係があるのに、俺と付き合うって言ったのか。
分かんないことだらけだよ?でもさ...
どんな過去があっても、俺は、大野さんが好きで、彼の全てを受け入れるって、そう決めたんだ。
もしも大野さんが地獄に堕ちるのなら、
俺も一緒だよ。
『仕事終わったら行くよ』と返事をした。
収録が終わって、帰り支度をしていると、相葉くんから着信があった。
「もしもし?大丈夫?翔ちゃんは?」
一気に聞きたいことを聞いた俺に、
『うん....』と、なんとも歯切れが悪い。
俺は、回りを気にしながら人気のない場所まで移動して、
「松潤とのこと、何か分かったの?」
相葉さんが、ポツリポツリと話したことは、だいたい予想した通りのこと。
大野さんと翔ちゃんは、もう終わった。
もう二人で会うことはない。
相葉くんとは、これからもつき合ってくことに代わりはない。
ただ、松潤が居たときの3人については、やっぱり分からなかった。
リーダーなら、教えてくれるんじゃない?って、相葉さんは言うけど.....
どうかな?
相葉くんと、これから先、気になることを相談しながら、お互いのパートナーをしっかり支えていこうってことを話した。
電話の向こうの相葉くんは、不安そうにしてるけど、
『大丈夫だから、翔ちゃんを信じて』そう励ました。
大野さん.....
俺だってずっと好きだったんだ。
翔ちゃんになんか負けないよ?
だから俺が、幸せにしてあげる....
俺は、直ぐに食べられるものを買い込んで、大野さんのマンションに向かった。