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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第35章 純恋花〜君が知らない罪と罰〜 / 豊臣秀吉




次の日。
舞は見事に風邪を引いた。


「はっくしゅんっ」


褥の中で、舞が可愛いクシャミをする。
その褥に横たわる舞を、秀吉が穏やかな目で見つめていた。

まぁ、春とは言え、夜はまだまだ冷える。
そんな中で、外で裸になれば、そりゃ風邪も引くだろう。


「ごめんね、秀吉さん」
「どうした?」
「昨日私、宴会で酔っ払っちゃって……秀吉さんが運んでくれたって光秀さんに聞いたよ」
「……まぁな」


昨日、意識を手放すほど激しく求められた舞は。
宴会以降の事を、全く覚えていなかった。

つまりは、光秀に手を出された事も、秀吉に仕置きを受けた事も。

まぁ、思い出させる必要もない。
光秀の言葉ではないが、酒の戯れとしとこう……と、秀吉は心に納得した。


「……だからって、あのキツネ野郎を許した訳じゃないがな」
「ん? 秀吉さん、どうしたの?」
「なーんでもない、昼餉作ってきてやるから、もう少し寝てろ」


と、そっと額に口付けを落とした時。
部屋の襖が、がらりと開いた。


「なんだ、秀吉居たのかよ」
「政宗」


顔を覗かせたのは政宗だった。
盆にやらほくほくと湯気が上がっているものを携えて。

秀吉は少しむっとして、ちゃっかり横に座る政宗を見る。


「部屋に勝手に入ってくるな、せめて声をかけろ」
「まぁ、堅いことは気にするな。 舞、昼餉持ってきたぞ」


盆から湯気を上げているのは、粥だった。
小魚と青菜が入って、食べなくても絶品なんだろうと伺える。

舞は起き上がって、目をキラキラさせながら盆を受け取った。


「わぁ、美味しそう! 政宗、ありがとう」


すごく嬉しそうに、ふにゃりと笑う。
自分意外の男が舞を笑わせている。
あんまり、気分良くない。

政宗がどさくさに紛れて舞の頭を撫でようとしたので、秀吉は必死に手を掴んで止めた。


「調子に乗るな」
「乗ってねぇ、至極自然な流れだ」
「人の女に気安く触るな」
「その内、俺の女になるからいいんだよ」
「そんな訳、あるか!」


何やら言い合う二人に、舞はキョトンとしながらも。


「仲良いんだね、二人とも」


自分の事で言い合ってるのも知らず、くすっと吹き出したのだった。







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